絵本『トマトくんのありがとう』
(文・徳永玲子 絵・二木ちかこ 原案・中野ユキヒロ、
企画・九州朝日放送、グッドブックス刊、A4変型判上製)です。
装丁デザインとDTPなどを担当しました。
【カバー&オビ】
九州朝日放送のラジオ番組から生まれた絵本です。
トマトくんのいのちの物語に、
農家のおじさんの愛情が伝わってきます。
読み聞かせができる絵本にしたいという希望があったので、大きめの判型です。
カバー、表紙ともにPP加工。
文章はラジオ番組のメインパーソナリティー・徳永玲子さん。
原案は番組内でコーナーを持っていらっしゃる中野ユキヒロさん。
中野さんは九州中の農家さんたちとつながっていらっしゃる方です。
文章だけが先にできていたので、絵をどなたに描いてもらうか
探し続けていて、二木(ふたつぎ)ちかこさんに出会いました。
のびのびとしたタッチが内容にぴったりでした。
【本文】
トマトを大きく、おいしく育てるために、農家のおじさんは日々奮闘しています。
日照りや台風、虫害から守ったり、摘果したり。
台風から目をそむけているトマトの表情や、この時期のトマトの生育具合、
トマトはほとんどビニールハウス栽培なのでビニールハウスを遠景に入れて、
じつは各ページごとに細かい部分まで作り込んでいます。
特に摘果は、トマトたちにとってみれば兄妹がちぎられていく悲しい試練なので
摘果を行う農家のおじさんの複雑な表情を描いてもらうために
二木さんと何度も何度もやり取りしました(画像はありませんが)。
葉っぱ1枚のしなびれ方にも細かい指定が入るのに
のびやかに絵を描くというのは大層難しかったはずですが、
よくここまで描いてもらったと思います。
後半には絵本の解説と、野菜農家さんたちの声を掲載しています。
本文用紙はマット系で、絵本にしたらページ数が多めだと思います。
糸かがり綴じです。
絵本は一般書より製本に時間がかかります。
薄い上製本の製本ができるところが少ないからだそうです。
あまり判型が大きいと印刷関連費がかさむので、
仕上がりと費用のバランスが難しいですね。