『「院外青年」運動の研究
日露戦後〜第一次大戦期における若者と政治との関係史』
(伊東久智著、晃洋書房刊、8,000円+税、 382ぺージ、A5判上製)です。
日露戦後から第一次大戦期にかけての帝国議会周辺において、
真の議会政治の実現を求める若者たちのことを
「院外青年」と呼んでいました。
彼ら「院外青年」たちの政治運動の実態をていねいに解明した
若者と政治との関係史です。
382ページの大著で、ずっしりと重い上製本。
ところで「上製」ってなに…?
と、とても頻繁に質問されます。
製本にはおおまかに「並製」と「上製」があって、
並製はソフトカバー、上製はハードカバーのことです。
ハードカバー(上製)は、表紙の芯に段ボールが入っていて
しっかりしたやつ。
ソフトカバー(並製)は、芯材が入っていなくて表紙の紙だけなので
ふにゃっとしたやつです。
個人的には、
ハードとソフトの違いは「表紙」のことであって、
上製本であれ並製本であれ「カバー」はどれもふにゃっとするので、
「ソフト表紙」と「ハード表紙」というような表現にしないと
ややこしくってしょうがないと思っておりますが。
【カバー&オビ】
内容ゆえの定価設定ではありますが、
やはり8,000円(税別)ともなると用紙選びも緊張します。
帯はキュリアスIRという、繊細な感じでキラキラ光る用紙。
手に取った瞬間は光っていることに気づかないけれど、
帯文を読んでいるうちに「あれ? 光ってる?」というぐらいの控えめさ。
うむ。上品です。
カバーデザインは、著者の伊東先生から使用画像の指定をいただきました。
何パターンかデザイン案を出したなかで選ばれたのが、
赤い画像が映える、潔い白バックの案でした。
この画像は『世界之日本』という冊子の表紙で、時代感もあり、
とてもかっこいいですよね。
右から左に向かって字を書いていた時代、レイアウトの感覚は
今と少し違っていたのか、同じふうに考えていいのか…どうでしょうか。
【はなぎれとしおり】
はなぎれはカバーに使用した画像と同じような赤を選びました。
しおりは、深い緑です。
深い緑は、著者の伊東先生からのご要望でした。
【表紙】
【本扉】
【もくじ】
【本文】
本書をとおして、私は初めて「院外青年」という単語を知りました。
さまざまな視点から粘り強い研究を重ねて、書き上げられていることがよくわかる
熱量を感じる1冊です。
まるで、この時代に政治を志した若者たちの鼓動が聞こえてくるようでした。
DTP的な視点で言えば、字詰めにも細かく調整を入れて、何度もやり直して仕上げた力作でもあります。
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